前置胎盤妊娠記録⑧ 23w3d 転院(2)

全前置胎盤から23wより管理入院、

28w1dで大出血を起こし緊急帝王切開で

SOUを出産するまでの過程です。

前回からの続きで

転院編後半です。

S病院から多摩総合医療センターは

距離はさほど遠くないものの

救急車での移動は40分程かかった。

寝た状態でダイレクトに車の振動が身体に

伝わってくるので、正直あまり居心地の

良い移動ではなかった。

救急車が小児総合医療センターにつくと、

そこで同伴してくれていたA先生は

S病院に戻るので

お別れになった。

A先生は改めて

S病院で受け入れが出来ないことが

申し訳ないと謝り、

「ぶじ妊娠28週まで継続して、

 またママも赤ちゃんも

 元気でS病院に戻ってきてください。

 待っていますね。」

と言い私の手を握ってくれた。

そう、妊娠をぶじ28週まで継続できれば

その後は出産になってもS病院のNICUで

フォローが可能になるため、

今回の転院は27週までで

28週に入ったらまた

S病院に戻るという

予定になっていた。

先の話をすると、結局私は

28週に入ってすぐ

S病院に戻る目前で

多摩総合医療センターで

緊急帝王切開、出産となったので

S病院に戻ることもなく

A先生ともう一度会うこともなかった。

しかし、S病院で突然入院

その後急遽転院となる

私にとってはきつい展開の中で

一日足らずの

短い時間ではあったが

そばに寄り添ってくれたA先生への

感謝は今でも忘れていない。

この時、夫のhiroは転院先が決まった時点で

会社から多摩総合医療センターへ

向かってくれていたが

私が到着するほうが先だった。

担架で院内に運び込まれ、

周りの景色が断片的にみえるだけで

院内の全体像は全く分からなかったが

とにかく凄く大きそうな

病院だというのは伝わってきた。

処置室だろうか、大きい部屋に入り

点滴のルートを取り直されたり

お腹の張りのモニターを改めて繋がれたり

慌ただしく処置がはじまった。

ここでの担当医は、B先生という

物腰柔らかな若い男性医師だった。

B先生は、今の体調の事やこれまでの経緯や

色々私に問診しながら

かなり時間をかけて

赤ちゃんと胎盤の様子を

エコーで調べていた。

この日は妊娠24週3日目。

赤ちゃんの体重は550g程度で、

胎盤が子宮口を

がっつり覆っている状況には

変わりなく、

強い張りではないものの

時々お腹の張りも

(あまり自覚は無かったが)

あるという事だった。

前置胎盤は、

胎盤がどの程度子宮口に

かかっているかによって

三パターンに分かれる。

①胎盤の端が子宮口出口に達している

 「辺縁前置胎盤」

➁胎盤が子宮口の一部を覆ってしまっている

 「部分前置胎盤」

➂胎盤が完全に子宮口を覆ってしまっている

 「全前置胎盤」

①<➁<➂の順で状況としては深刻で

私は最も深刻度の高い➂の全前置胎盤。

全前置胎盤のまま出産になるのは

先生曰く

「宝くじに当たるレベルの確率」

だという。

先生は穏やかに優しく話す先生だったが、

エコーを終えた後にはっきりとこう言った。

「今赤ちゃんは24週と3日で

 まだ500gちょっとしかありません。

 率直に言って、もし今すぐに赤ちゃんが

 生まれてしまった場合予後は良くないです。

 仮に命が助かっても、

 重い障害が残ってしまう可能性が高い

 週数です。

 在胎週数が一週間違うだけで

 未熟児の赤ちゃんの

 予後は全く変わってきます。

 一日でも違います。

 一日また一日、お腹の中に少しでも長く

 赤ちゃんをとどめておく

 勝負になると思ってください。

 なるべく正産期に近い週数まで

 継続するのが目標ですが、

 もし早産となっても

 ここの病院には最先端の

 NICUがありますので。

 その点はどうぞ安心してください。

 出産まで長い入院になるかも

 しれませんが、haruruさん

 私たちも最大のサポートをして

 いきますので

 一緒に頑張りましょう。」

 今生まれてしまったら赤ちゃんは厳しい。

 一日でも長く、

赤ちゃんを

お腹にとどめておくための

 勝負になる。

 先生の言葉の一言一言が

 途方もない重みをもって

 心に響いた。

 退院、つまり出産が

 いつになるのかは全く分からないし

 TAKUの事や気がかりは

 山のようにあるが

 赤ちゃんの為には

 とにかく管理入院を

 頑張るしかない。

その後、hiroが病院に到着して

私が受けたのと同じ説明をB先生から受け、

大量の入院書類に記入をしたあと

私はMFICU(母体胎児集中治療室)に

入院することになった。

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